くわだてありき

吹奏楽(全国大会以外)とかコンサートホールとか高架下とかの話が主です。

2014年全日本吹奏楽コンクール地方予選のたび(大阪・兵庫篇)再録

 いちばん最初に疑問を抱いたのは、進学のために東京へ出てきて、こちらでコンクールに参加した際のことでした。現役の吹奏楽部員だったころに経験してきた地区大会や県大会で「当たり前」だと思っていたことが、実は意外とその県だけのルールだったりして、非常に驚いたのです。使える楽器の規定、ホールで享受できるものごと、審査の方法に至るまで。どこも同じ環境、同じ条件だとばかり思っていた私にとっては、かなりショックな出来事でした。

 吹奏楽の指導などで全国を飛び回っている先生方なら皆さんとっくにご存知のことでだと思いますが、全国大会に至るまでの下位大会(県・地区)では、部門名や、団体人数や、表彰方法、審査方法から、式次第、使用してよい楽器についての決まりまで、各都道府県、各地区にかなりの量の“ローカルルール”があります。
 同じ日本で、同じコンクールに出場しているというのに、統一された条件で競っているとは言いづらい状況なのです。

 

 そんなことを調べたり考えたりしているうちに「こんなにもやもやするなら、いっそ自分の目で確かめに行こう」という気持ちが高まってきました。
他の県の大会に行ったことなんてありません。ですが、入場券が販売しているなら買えるはずだし、裏方のほうまで見学できなくても、ステージさえ見られれば、わかることはたくさんあるはず。
 というわけで、2014年からちまちまと、地方のコンクール(地区大会・県大会)などをまわるたびをはじめることにしたのでした。

 

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 さて、1回目のたびは、自分が関東近辺の事情しか知らないということもあったので、まずは関西方面、と決めました。仕事の都合上、土日やお盆に休みを取りづらい身の上ですが、地区や県大会は日程が6月下旬~7月と、かなり早め。年に2~3つにはなってしまうかと思いますが、気長に経験を積んで行きたいと思います。
 今回は大阪・兵庫をメインにしました。高校の部はチケットが取れない可能性があるため(事前販売が無い)、今回はパス。職場の部や中学B編成などを中心に、スケジュールを立てました。


 東京から大阪まで、行路は夜行の高速バスをチョイス。東京在住といっても西の方の田舎に住まっていると、一旦品川なり東京なりへ出て新幹線に乗るのはなんだか勿体無い気がしてしまう。というわけで、新宿から出発して、谷保や八王子を通っていく中央道のルートにお世話になったわけです。
 明朝7時には新大阪のバスターミナルに降り立ち、事前に調べておいた駅近くのサウナで汗を流してさっぱり。しかし、この間に外は大変なことになっておりました…。

 なんとこの時、勢力の強い台風が近畿地方に接近(平成26年台風13号)。
 ニュースで一度は熱帯低気圧になったと見ていたため完全にノーマークで、前日に気づいたけれどあとのまつり。この日はほかにもあちこちでコンクールの当日を迎えていましたが、延期や時間を繰り下げての開催を選択したところもあったようです。
 

 この影響をもろに受け、あちこちで運休になってゆく電車たちを後目に、なんとか動いていた福知山線に乗り込んで小一時間。この日の部門は兵庫県の職場・一般でした。場所は三田市総合文化センター(郷の音ホール)。

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【2014-1日目 兵庫県大会 職場・一般の部】
 
最寄駅についたはいいものの、ほとんど人の姿は無し。ほぼ横から吹き付けてくる嵐に、駅からでることもままならない状態でした。なんとか雨風の影響を受けにくいところに移動し、奇跡的に止まっていたタクシーをお願いして移動。車にのるまでに、すでにかなり濡れてしまっていました。
 
 
 早くもボロボロになりながらホールにたどり着いたのは、すでに演奏開始時間を過ぎたころでしたが、一般・職場の部は1時間時間を繰り下げての進行となっており、ほぼ最初から聴くことができました。
 
 本当は駅でコインロッカーを見つけて、荷物を預けてからホールへ向かおうと思っていたのですが、そんな余裕もなく。幸いにしてホールでコインロッカーを見つけることが出来たので一安心、いざ場内へ。
 事前に地元の方にリサーチしたものの、当日券が万が一買えなかったらどうしよう・・・と思っていましたが、まったくの杞憂でした。やや薄めの硬券。ここの受付は地元の先生方? 受付やもぎりは学生のボランティアがしていることも多いですが、この大会はぜんぶ大人の要員でした。すんなり買わせてもらい、いざ入場です。

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お昼休憩に外に出たら、すでに雨は止まっており、ほっと一安心。
 

 ホール内のレストランはランチ完売?!関係者や聴きに来た方々であっという間に亡くなってしまったようです。ホールは郊外にあり、近くにあまり飲食店もなかったので、唯一近くにあったロードサイド型の”餃子の王将”へ。
 完全に余談ですが、コンクールを聴くのにごはん問題はかなり重要です。あまり食べ過ぎると睡魔に屈しやすくなり、かといって脳にブドウ糖が足りなくなるのも勘弁してほしいもの。量の調整できるファミレスがあるとよいのですが、ホール近隣の飲食店は、休憩中のみ戦場のような様相を呈するものだと相場が決まっています。それは都道府県共通なんだということが、図らずもこの時よくわかりました(笑)
 1人旅だったので、カウンターの端の席になんとかありつくことができ、午後の部にも問題なく戻ることができました。

 

 会場は非常に響きのいいホールで、かなり施工も新しいようでした。木がふんだんに使われており、HPによれば、残響1.9秒(可変あり)とのこと。(※ちなみにサントリーホールが残響2.1秒、紀尾井ホールが1.8秒なので、それと同じくらいには響きのよいところだと思っていただければ。)
 その結果、よく響きすぎてバランスを失し、響きがもごもごする団体さんが少なからず見受けられたように感じました。ここは他の会場に比べ、大変恵まれていると言えます。自分で響きを考えて作らなければいけない場所と違い、どんなふうにやってもよく響く。ゆえにその団体の本当の響きとは違うんじゃないかと勘ぐったりして、聴くほうは少々骨が折れました。

 ちなみに激戦区だと聞いてたので、さぞかし課題曲はⅤ番が多かろうと想像していたら予想以上にマーチばっかりでした。やはり一般団体ではⅤ番はいろいろな問題から選択しにくいところがあるのでしょうか。観客は少なめでしたが、当日の天候を考えるとこればかりは致し方ないですね。客席は非常に落ち着いていました。なぜか制服姿の学生さんが多かったです。

 

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横看板はこんな感じでした。バトンなどが見当たらなかったのですが、どうやって吊ってるんだろう。。。
 
 
 コンクールに特化した作品選びは、そう多くありませんでした。いろいろな個性のバンド・作品に接して面白く思いました。バンド名が面白い傾向も、関西ならではなのでしょうか。(○○とゆかいな仲間たち、みたいな・笑)
激戦区だと聞いていたので、課題曲Ⅴが聴けるかとちょっと期待してたんですが、そういうことは無く、ふつうにマーチをきちんと仕上げてくる団体さんが多かったですね。
 

 

 終わって三田で一泊。夜までずっとコンクール会場で聞いていただけなのに、くたくたです。

 
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翌朝、ホテルの最寄駅から。台風一過ですね。

 

【2014-2日目 大阪府大会 小学校/中(小編成)/高校(小編成)/大学の部】 

三田→大阪→京橋→住道
 三田からは40分ほどで大阪まで戻ってこられるので、横浜〜上野間くらいだと思えばいいでしょうか。乗り換えた電車が、普通便なのになぜかすごくハイスピードでした。大阪のテンポはしゃべりとおなじで高速なのでしょうか。ちょっぴりドキドキしました。

 住道駅から、かんかん照りの日差しの中を徒歩6分くらいで、ホールに到着です。
 ここのもぎりは中学生? 初々しい学生さんたちが、はきはきとこなしていらっしゃいました。ホールはちょっと年季がはいってます。
 ちょっと驚いたのは、このホール、上手・下手に楽器の導線がなく、大型楽器の出し入れを、その都度うしろの巨大な反響板をあげて(!)行っていたこと。これでは運営がたはさぞ大変なことでしょう。左右の反響板にもドアは付いていましたが、かなり小さく、ティンパニなどを出し入れできるサイズではないのでしょう。
 
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休憩時、立派な緞帳。客席はわりあい埋まっていました。
 
 
 昨日は悩まされたお昼問題ですが、ここのホールも近くにごはん屋さんが見当たらず、コンビニごはんもやむなしか……と思っておりましたが、駅まで戻る途中、いい感じの”街のパン屋さん”を発見。おいしい惣菜パンで一息つくことができました。
 たびをしているのにごはんに注力しないのはなんだかもったいない気もしますが、ここまで来て食事のためにいい演奏を聞き逃すほうが、私にとってはもったいないのです。

 
 プログラムをながめると、編曲ものが多い印象を受けました。オリジナル曲も、わるくいえば一昔前の(ロバート・スミスとか)作品が目につき、新しい作品が少ないのかな?と思いました。
 また指揮している先生方の棒が、似ているんです。先生の先生がおなじなのでしょうか。皆一様に、タタキがしっかりしている。拍感はすごくわかりやすいですが、マーチ以外もそれで振っている方が何人かいらしたので、ちょっと違和感が残りました。
 小編成のことをB編成じゃなくS編成て言うことにも全然慣れないし、上に行く大会なのに金銀銅ではなく「優秀賞」「奨励賞」の2種類だけ。ここらへんは完全にローカルルールですね。
 東京近郊だと小学生の部を聴く機会もなかなかないですが、人数が多く、非常に充実したサウンドを聴かせてもらえました。ただ音色の面では……たしかに小学生だな、という印象。嫌味ではなくて、これで音までめちゃめちゃきれいだったら中学生の立つ瀬がありません。団体数は少なかったですが、非常に和みました。

 客席は最高時には6割〜7割埋まっていました。お客さんは、正直いってかなり落ち着きがないなというところです。ひっきりなしにアナウンスで客席への注意事項が読み上げられ、看板を掲げた学生さんが場内をいったりきたり。東京でも看板を持った学生が見回りをすることはありますが、かなり頻度が高かったです。改めて、自分の知っている「コンクールの常識」ではないものに触れていると感じました。
 新幹線の時間があったので結果発表はみられませんでしたが、総じてのんびりした関東人には刺激が強い体験となりました。

 

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 というわけで、はじめての巡礼は、大阪・兵庫でした。1泊3日の弾丸ツアーは、2県分回れて満足のたびになりました。関西だからといって関東とそこまで差があるわけではなかったですが、あたりまえに通用しているローカルルールがあることをこの目で見られたのは大きかったです。

 

http://band-searchlight.com/reference/過去の記事より転載)