くわだてありき

田橋るう(たばし るう)です。吹奏楽とかアトマネとか高架下とかのはなしをしてます。

マナーてなあに? アメちゃん問題

コンサートホールでうるさいノイズと言われるもののひとつに、アメを開ける音がある。
ビニールの小袋をガサッと言わせる、あの音に不快感を感じる人は多い。

 

グーグル先生に簡単な質問をしてみた。「音楽ホール 飴」と入れて検索。
大半が批判的なことを言っている。まあ無理もない。
意見としては次の通り。 

*そもそもホールって飲食禁止だし!なにやってんだ
*ガサガサされるくらいなら、咳してくれたほうがマシだわー(http://mihokohosh.exblog.jp/990607/)
*音響のいいホールだと、衣擦れさえ気になるのに、ビニールの包装紙をがさがささせるなんて!
*自分もやっちまったことあるんだが、あれって本人はそれほどきこえないと思ってるんだよなー…
*まあそう目くじら立てるな、現実的になろうぜ。アメを袋から出して、小さいジップロックに入れとくんだ。これなら音が立ちにくい。(http://classicalmusiclover.jp/concert-candy)
等々。

基本的にホールというところは人間用に湿度をコントロールしていないことが多い。
ピアノやオルガン、弦楽器に木管楽器、みんな日本の湿気が大キライというものばかりだ。
演奏家はかなり神経を使って温度湿度のコントロールをしている。
ヴァイオリン弾きは除湿剤の小袋や湿度計をケースに入れているものだし、
オルガニストティンパニストは雨が降ると不機嫌になる(事実。)
だから、ホールに来て急に咳が出て困るというのは、クオリティの高い演奏を聞きたいなら、
じつはある程度しょうがないことでもあるのだ。

まえにいたホールに届いたアンケートに、売店でアメを売ってくれという要望が書いてあったことがある。
でもそれは難しいことだった。そこでアメを売れば、絶対に客席に持って入り、食べるからだ。
ホールの立場として、それを推奨するようなことはできない。
かわりにハンカチや咳クッションならねえ。
ということでその要望は不採用になった。
プログラムにはちゃんと飲食禁止って書いてあるし、影アナでも毎回かならずアナウンスする。

ではなぜホール内は飲食禁止なのか?
「ホール 飲食禁止 なぜ」と検索。

 

アメリカやヨーロッパのホールでは、ロビーでアメを配っているところもあるという。

アメリカの場合は「箱に入れられたホールズがホール入り口に置いてある」などが目撃情報としてあがっている。(http://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1330&id=15517351)
また、サンフランシスコの某コンサートホールでは、売店でグミキャンディが売られていたらしい。(http://aric84.exblog.jp/24346626)
そもそも、ここまで厳しくホール内の飲食を禁じているのは日本だけのようだ。
教養主義の影響も多分に含んでいると思われる)

ジャズバーみたいなところ(たとえば:http://www.bluenote.co.jp/jp/)では普通に食事すら提供されるのに、なぜコンサートホールではNGなのか?

ホールで飲食する問題は以下の通り。
*床がよごれる 絨毯引きの場合は特に致命傷になったりする。
*ゴミが出る ホールによってはそのゴミを誰が片づけるのか?が問題にされたりする。
*そういうきまりになってるからだ! と杓子定規をあてがう人も。公共ホールによくある。
*音がたつ ジャズなら食器のかちゃかちゃいう音が入っても問題ない(?)が、クラシックのように集中を要求される(??)音楽の場合はよろしくない。(それもなあ…うーむむ)
等々。

飲食にともなうゴミの問題は、たしかに困ったものだ。
裏をかえすと、アメのように出ても小さいゴミなら、たいていの善きコンサートファンは持ち帰るだろう(客席に落ちてるのを見ることもあるけど。。。)
コーヒーショップの紙コップをそのまま持って入ったりされるのは困る。置き場所もないし、こぼしたら本人にかかって処置で大慌て、他人にかけちゃったらクリーニング問題に大発展だ。
いつぞやのオペラシティ(https://www.operacity.jp/concert/calendar/details/121204.php)で、
スティーブライヒが来日した際には、普段コンサートを聞きなれない若い人たちがたくさん来てすっごく嬉しかったけど、スナック菓子やペットボトルをむき出しで持ち込んでいたので、ちょっと驚いた。(まあペットボトルなら前述のコーヒーみたいにはなりにくいけど)

その時は驚いたのだが、ライヒを聞きつつすこし考えたら、べつにそれほど驚くことでもないような気がしてきた。
彼らは人にメイワクをかけていると思ってそれをしているわけではないのだ。
花束を客席に持ち込みたい人も、なにもガサガサさせて他人の眉をひそめさせるのが目的じゃない。その演奏者に、終演直後に自分の思いを花にのせて届けたいという一心なのである。
鈴を鳴らしてしまう年配のご婦人も、べつに悪いことしてると思ってはいないだろう。ただ今日持ってきた「いつものバッグ」に、普段から鈴をつけていた、それだけのことだ。

彼らの無関心を責める向きも当然あるだろう。コンサートに来るのだから、そういうことには気を配らなきゃだめだ。と。…ある程度は必要なことだと思う。けれどこれがエスカレートしたから、コンサートは「なんだかカタクルシイところ」になってしまったのじゃないか、とも思えて仕方がない。

誠に残念ながら、すでにクラシック慣れしている人の目線で書かれた「マナー指南」は、けっこう厳しい言いようだったり、「勉強しなさい」という姿勢の強いものが多いようだ。

「コンサート マナー」と検索して眺めると、5分もしないうちにうんざりしてくる。そんなことまで言わないといけないのかしら。これ全部守って聞いたら、肩凝ってヘトヘトになりそうだ。(こういう感じだとかなり親切なんだけど→http://t.pia.jp/feature/f/beginner/classic.jsp)

というわけで最近のは、雑音がした場合はなるべくそれをみないようにして(笑)、気にしないようにして演奏をガン見(笑)するようにしている。ちょっとまえに鈍感力ってはやってたよね。あれである。体臭の匂いのきついのだけは、ご勘弁願いたいが…でもそういう場合、ホールの方に事情を話すと、休憩のあいだに席を振り替えてもらえることもあったりする。

要は、ひとりでキリキリしないということなのかも。
そんな風にして自分で自分にストレスかけても、誰にもいいことは無いからね。


(2016年5月30日のnoteより転載)