くわだてありき(Bandsearchlightブログ)

吹奏楽(全国大会以外)とかコンサートホールとか高架下とかの話が主です。

後悔しないコンサートのつくりかた (3)曲目と曲順を決める

 吹部などでコンサート係になっちゃったけどどうしよう!というそこのあなたへ送る全10回予定の記事です。需要があるのかわかりませんが…実はこれ、以前やっていた個人サイトで掲載していたものなのですが、そっちをたたむことにしたので、内容を一部リニューアルして掲載しなおしているというわけです。


 さて、今回はいよいよ、演奏会の中身を作っていく段階です。

 

もくじ

(1) 演奏会の内容を考える
(2) 場所を決め、準備する
(3) 曲目と曲順を決める ★
(4) チラシ・チケット、宣伝
(5) 対外手続き
(6) 役割分担
(7) 当日配布の印刷物
(8) 当日必要なあれこれ
(9) リハーサル
(10) いよいよ本番日

 

演奏する曲を決める

 「演奏会を企画する」と言うとき、多くの方が想像するのがこの部分だと思います。でも、なんでもかんでもやりたい曲を全部プログラムに入れられるわけではありませんよね。バンドの持っている楽譜の数は限られていますし、毎回の演奏会のたびに新しいレパートリーを増やすのも難しいこと。手持ちの曲をどんなふうに聴かせられるかが、吹奏楽の曲順決めの上では重要なポイントになってきます。

 

◆いま演奏できる曲を書き出そう
 今年のコンクールで演奏した曲はもとより、以前からレパートリーにしている定番のマーチ、ちょっと古くなっちゃったけど2〜3年前に買ったミュージックエイトのJ-POP、去年の敬老会でやった演歌のメドレー……などなど、まずは最近よく演奏していて、すぐにでも合奏できるものを書き出します。会議の時は大きめのふせんなどに1曲づつ書き出して、ホワイトボードなどに並べて貼っていくと、並べ替えながら考えることができて便利です。

 

◆楽譜の在庫をしらべよう
 学校吹奏楽団の場合は、以前演奏した楽譜が部室などに眠っているはず。古い楽譜だからといって敬遠せずみてみると、意外な掘り出し物があるかもしれません。メインにしたい曲との組み合わせ次第で、活用方法はいろいろあります。

 

◆新しい曲の購入を検討する
 予算が使えるなら、当然それも選択肢のひとつです。ただ、予算にしばられすぎて価格で楽譜を決めるようなことはやめましょう。その演奏会でしか演奏しない曲を毎回買うより、数をしぼって良質なレパートリーを増やすほうが、長い目で見た時にバンドのためになるかもしれません。後輩に良い財産を残すこともできますしね。大規模な演奏会なら、楽譜の購入費用を部員で割り勘して集める、というやり方も可能性として大いにありだと思います。

 

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曲の所要時間と、曲以外にかかる時間を計算する

 曲目会議の際、大事なのが、各曲目にかかる時間(分数)です。この演奏会は、何時に始まって、何時に終わるようにしたいのか。また、何時までに撤収を完了しなくてはいけないのか、などの情報をもとに計算します。手元に電卓があったほうがスムーズです。

◆舞台転換の時間
 楽器を移動しなくてはならないとか、パート内で座る位置の入れ替えをしなくてはならない場合、その時間も計算に入れておく必要があります。思っているより多くの時間がとられるものです。実際の転換時間を計っておけると、より正確です。大掛かりな転換が必要な場合(具体的には、だいたい3分以上かかる場合)は、そのあいだに祝電を読み上げるとか、指揮者にインタビューをするとか、時間かせぎの策を用意しておくといいですね。

 

◆休憩
 2時間以上の本番の場合、あいだに休憩を設けましょう。もちろんお客様のためですが、自分たちのコンディションを整えるためでもあります。休憩に入る前と、休憩明けの曲目にもひと工夫したいものです。

 

◆入りとハケ、拍手、カーテンコール
 意外に見落としがちなのがこの「スキマ」の時間。舞台袖から団員が入場し全員が自席に着くまでの時間、お客様から拍手をいただく時間やお辞儀する時間などです。ここで思わぬタイムロスになることがあります。他にも、指揮者を呼び込んで、指揮をはじめるまでの時間や、最後の曲が終わってアンコールに移るまでの時間(拍手はありがたいし、さっさと演奏しはじめるのもアレだし……)にも、できれば多めにバッファを見ておきたいものです。

 

◆司会
 学生の吹奏楽部では、よっぽどクラシカルなコンサートでない限り、司会は必要になるでしょう。司会を立てるメリットは、①よりお客様に演奏を楽しんでもらうため、演奏する曲目を紹介する ②場をなごませる ③転換などの時間をかせぐ ④団員のコンディションを調整する などさまざま。
 ただ、考えておかなくてはならないことがいくつかあります。まず、会場によっては司会の声をきちんと届けるために、マイク(PA)は必須になります。また、団員の中から司会者を選ぶことになると、台本を書いたりしゃべりの練習をしたりと、その団員にはけっこう負荷がかかります。準備だけでなく、演奏が終わってすぐしゃべり、またすぐに演奏に戻る…という繰り返しは、他の団員に比べて圧倒的に大変なことです。自席からマイクのある場所への移動時間がかかる場合は、司会者を2名体制にして、2人同時にしゃべる時と、どちらか片方だけが紹介をする時を作ったりするのも、司会者の負担をへらすために有効です。

 

 こうして苦心して時間をコントロールしようとしても、結局予定より長くなってしまうのが本番の怖いところです。ダンス衣装の着替え、先生に「ひとことお願いします」って言ったら話が長くなりすぎた、などなど、なかなか計算通りにはいきません。コンサート全体の時間が120分だとしたら、2〜3分程度でよいので「あそびの時間」を作れると、当日のタイムスケジュールに余裕ができて、ぐっと楽になります。
 あれもこれも!と詰め込んで時間ギリギリにした演奏会が成功する可能性は、そうでない演奏会より当然低くなります。演奏会全体の成功のために、ゆとりをもった時間設定ができるとよいですね。
 ちなみに時間貸しのホールでは、片付けが長引いたりして規定の時間をオーバーすると延長料金が発生することもありますので、ご注意を。

 

 

納得のいくコンサートをつくるために

 吹奏楽団はチームですから、練習の合間にきちんと時間をとって曲目会議をしたほうが、皆の納得のいく企画ができるでしょう。もし途中で意見の食い違いが生じてしまったら、(1)演奏会の内容を考えるで共有したコンセプトに立ち返りましょう。

 また、(4)チラシ・チケットづくりが同時に進んでいて、入稿が迫っているなどの場合、主な曲目だけでも決められれば、チラシやチケットに曲目を掲載することができます。実は意外とこれが重要です。身内ならともかく、知り合いでないお客さんが、演奏する曲が何なのか全然わからないコンサートに行きたいと思う可能性は低いということを、覚えておいて損はありません。

 

 というわけで、次回は宣伝の第一歩、チラシ・チケットづくりについてお話しします。ちょっと長くなっちゃうかもなあ……なるべく簡単にお話できるといいのですが。

 

2019/10/08 noteより転載)