くわだてありき(Bandsearchlightブログ)

吹奏楽(全国大会以外)とかコンサートホールとか高架下とかの話が主です。

(ブース編)MidwestClinicはじめてレポート番外編2

これまでコンサートや講座のことばかりお伝えしてきた本レポートですが、
遅ればせながらようやく、それ以外の部分にも触れていきたいと思います。

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 そう、セッションの会場を全て足したのと同じくらい広大な、物販・展示会場についてです。

 

 アメリカのみならず、展示会場面積のランキングで10本の指にはいるマコーミック・プレイス(McCormick Place)は、見本市やモーター・ショー、国際的な学会、さらには大統領が駐留するなど、アメリカではかなり有名な会場です。設備が整っていて綺麗なので比較的新しいと思いきや、なんと運営開始から57年目だというので驚きました。

 また隣にあるホテル、Hyatt Regency McCormick Placeからは内廊下で接続しているので、こちらに宿泊される方が非常に多いようです。(私は今回かなり遠い場所に宿をとってしまいましたが、絶対こちらのほうがいいと思います。夜遅くなるのを気にせずセッションを選び放題なので。)

 

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 さて、そのマコーミック・プレイス、東西南北4つの巨大な建物で構成されていますが、すべての敷地を合わせると260万平方フィート(約24万㎡)とのこと。東京ドームが4,7万㎡なので、およそ東京ドーム5〜6個分。気が遠くなります。

 このうち、MidwestClinicで使用されるのは4つのうち最も小さいWest Buildingのみです。とはいえブロック一つ分まるまるの巨大なビルですが、その2階部分のほぼ半分を占めるのが、今からお話しするブース会場なのです。

 

ゲートをくぐると上には垂れ幕で番号が書かれています。100番台から2000番台まで番地が振られたブースが立ち並ぶ姿は、さながら都心の大型百貨店のようです。 

  楽器の小売業者は壁沿い100番からで、管楽器、打楽器、マーチング用の各種楽器にマーチング用の各種小物、衣装とよりどりみどり。楽器業者のブースにはデモンストレーションの奏者をおいているところも多く、実際に音を出してみせています。

 

ブースの大きさはいろいろです。コンパクトなものから、こんなふうに広く、ソファまで完備でくつろいで商談できるようなところもありました。 

 

楽器メーカーはここぞとばかりに自社製品の、それも特殊楽器(普段はお目にかからないようなもの)をPRしています。

 

マーチングの手具や衣装のブースも大量に出ていました。華やかですね。

 

なぜかお菓子や軽食、スナックを売るブースが所々にありました。誰が、なんの目的で出店しているのか尋ねて見たかったのですが、後述の理由で叶わず。

 

2つある会場入り口のうち、出版社ブースに近いほうの入り口近くでは、入れ替わり立ち代わり小さなアンサンブルの演奏が行われていました。いわゆる室内楽からジャズ・コンボ、果ては合唱(それも男声合唱)まで非常に幅広かったです。奏者はフレッシュな若手中心でしたが、中にはかなりの猛者が混じっていることも。

 

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楽器店の一帯をぬけてしばらくすると、軍楽隊のPRブースや学校の紹介ブースなど、あらゆる音楽、吹奏楽にかかわる企業が軒を連ねるゾーンにさしかかります。シカゴ響もありました。このあとの公演チケットを予約してあるんだよ!と立ち話をしたら、お土産に鉛筆やシャープナーをゲット。

 

楽器小物、だけじゃなく、雑貨やアクセサリーを扱うお店の集まる一角もあって、もはや何のカンファレンスなのか少々わからなくなるようです。

 

 

それらを抜けた先はこのブースのある意味中心地ともいえる、楽譜の森です。

de haske社の大きなブース。吹奏楽以外にも、スクール・オーケストラやジャズ関連の楽譜も多く置いてありました。

この頃ちょうど解禁になったスター・ウォーズ関連のアレンジの特設コーナーも。

 

出版社や譜面小売業の集まる界隈は、楽器本体を扱う区画より幾分静かですが、みんな夢中で目当ての品物を探しているからでもあるでしょう。実演用に自社の作品をPRすることを第一義にブースを出店している出版社と、ここぞとばかりにセールスを伸ばしたい楽譜の小売業が入り乱れ、静かではありますが熱気があふれています。

 

自社の最新作を扱うブースには会社のスタッフだけでなく、その出版社で作品を扱っている作曲家が待っており、あれこれと話ができたりします。 

 

こちらは日本から唯一の出店、Bravo Music(=ブレーン株式会社)のブース。邦人作曲家の作品がたくさん陳列されています。日本のバンドのドキュメンタリーや演奏などが放映されていて、足を止めて見入っているお客さんも多く見受けられました。

 

楽譜だけじゃなくCDも、ものすごい特価でした。ここのブースは2枚買うと1枚Freeということでした。アメリカでは「何%引き」とというやり方より、いくつ買うとあと1つが半額とか無料とかいう値引きの手法をよく見かけました。お国柄でしょうか。

 

 

 

もちろん活気に満ちた空間なのですが、ブースの中のみなさんは基本的に悠々とくつろいでいて、コーヒーを片手におしゃべりしたり、おやつをたべたり。

 

おおらかな国だなあと思ったところは、会場にも。アメリカには本当にたくさんのゴミ箱があったのです。ダウンタウンの通りには1ブロックごとに。マコーミック・プレイスの中でも、一見してすぐわかるところにゴミ箱があるので、日本と違って気軽にゴミが捨てられます。また、ゴミの回収もかなり頻繁に行われているようで、滞在中何度か見かけました。日本は逆に、つくづくゴミの捨てにくい国なのだろうなあ、とも考えました。

 

文字通り、見て面白く、買って楽しいこの巨大ブース群、きっと4日間、時間の空きをみつけて入り浸ろう、と思っていたのですが、見たいセッションがありすぎたのが誤算でした。おまけになんと、3日目の夕方通りがかったら、すでに撤収をすすめているところで、唖然呆然する一幕も。そう、最終日まではやってくださらなかったのです…!会期中はあいていると信じて疑わなかった自分を責めました。(お土産などを2日目の空き時間にいろいろ買っておいたおかげで、さみしい思いはちょっとだけ軽減されたのでした。)

 

日本から出店を行うには何かと難しい手続きなどがあるようで、日本の業者はブレーンのみだといいます。しかし、今後のビジネスチャンスを考える音楽関連産業の皆さんには、ぜひ日本からの風を吹き込んで欲しいものだなあとも思いました。