くわだてありき(Bandsearchlightブログ)

吹奏楽(全国大会以外)とかコンサートホールとか高架下とかの話が主です。

後悔しないコンサートのつくり方 (6)役割分担

 全10回の予定「後悔しないコンサートのつくり方」も折り返しを過ぎました。今回は、円滑にコンサートを運営するために必要な役割分担について考えます。

 

もくじ

(1) 演奏会の内容を考える
(2) 場所を決め、準備する
(3) 曲目と曲順を決める
(4) チラシ・チケット、宣伝 
(5) 対外手続き
(6) 役割分担 ★
(7) 当日配布の印刷物
(8) 当日必要なあれこれ
(9) リハーサル
(10) いよいよ本番日

 

 演奏会のための係というと、みなさんはどんなものを想像するでしょうか。もちろん、衣装係、楽器運搬係なども演奏会のためには重要ですが、お客様をスムーズに迎え入れ、滞りなくコンサートを進めるためには、おおよそ以下のような役割のスタッフが必要になります。

 

表方(おもてかた)

 表方とは、入り口でチケットをもぎる人、お客さんにプログラムを渡す人、荷物やいただいた差し入れ・花束などを預かったり、ドアの開閉をしたりという人たちの総称です。当日、預かりチケットの精算や当日券の販売を行う場合は、これも表方の人にお願いせねばなりません。お金の計算に強い人がひとりいるといいですね。
 彼らはいざという時(火災や自然災害など)お客様を避難誘導するための要員でもありますので、必ず担当を決めておいて下さい。学校の吹奏楽部の場合、自分たちは当日演奏にかかりきりになってしまうので、表方は父兄の方々にお願いできるといいですね。市民バンドの場合、依頼できそうなのは元団員とか、団員の知人などが妥当でしょうか。
 本番中も持ち場を離れられないため、演奏する当人たちがこの係をするのは現実的ではありません。身内に頼むのでなければ、ある程度の御礼(交通費・御車代)をお支払いしたほうがよいでしょう。

 

ステージマネージャーと、舞台転換係

 当日、ステージを一手に仕切るのが、ステージマネージャー(以下ステマネ)です。本番中にたくさんの舞台転換がある演奏会では、なくてはならない存在です。演奏会の構想の段階から、ステージ周りの長となる人間をひとり決めておき、当日も、この長を中心に舞台転換をすすめていく、ということになるでしょう。
 ステマネは舞台転換係に指示をし、曲と曲の間に椅子や譜面台の出し入れ、配置、全体の調整などを行います。経験者にお願いできれば心強いですが、それが難しいこともあるでしょう。ステマネの仕事の最も重要な点は、奏者が心地よく演奏できるよう、ステージセッティングを整える係の統率をすることです。また舞台転換図を元に、あらかじめ椅子や譜面台をいつ、どれだけ、どのくらいの時間内に、舞台上のどの位置へ運んでセッティング変えすれば良いのか考え、実行することが求められます。
 ステマネの一挙手一投足はお客さまから意外に見られているもの。足音がうるさくない、椅子を運ぶ姿などがみっともなくない、など、その演奏会の雰囲気づくりにも、おおいに影響すると思って下さい。
 舞台転換係は、ステージマネージャーの采配にしたがって、椅子や譜面台を舞台に応じて出したり引っ込めたりします。転換の分量によって何人か、人員を確保しておきましょう。この係が足りなかったりすると、曲と曲との間の転換がスムーズに行えず、お客様を待たせるだけでなく演奏会全体の雰囲気を悪くしてしまうかも。

 

ホールの照明について

 照明係は、文化会館などのホールの場合は基本的に、その会館にいる照明スタッフさんとの連携作業になります。ただし専属の照明さんがいない場合もあります。そういうホールで照明を使いたい場合は、予算と相談の上、照明スタッフさんを外注することもできるでしょう。(バンドによっては舞台照明を学んで学生の係を立てているところもあるようですが、基本的には専門職だと考えます)
 照明さんには、どんな照明にしたいのかという希望を事前に伝える必要があります。曲中でタイミングに合わせて照明を変えたい場合は、どのタイミングでどのように変えたいのかをあらかじめ相談し、譜面に指示を書き込んだものを渡したりします。
 ただ、こちらであれやこれや細かく色を指定するより、どうしてもという希望がなければ、ある程度照明スタッフさんにおまかせするのもアリです。いずれにしてもまずは相談してみましょう!

 

司会(MC)
(3)曲目と曲順を決めるでもすこし説明しましたが、司会を任されるって、けっこう大変なものです。団員の誰かが司会を兼ねることはよくありますが、もし予算が許せば、ここはひとつ団員以外の専属の司会者をたててはいかがでしょうか。諸々の用意がありますので、依頼するときは最低でも演奏会の2ヶ月までに。
 団員が司会をする場合、演奏の訓練はしていても、しゃべりの訓練はみんなしていないと思いますので、よほど場馴れしている人以外は台本をちゃんと用意しましょう。で、台本を作り始めると、指揮者へのインタビュー、団員へのインタビューなどあれこれトピックスを設けたくなりがちですが、演奏する曲の説明や団についての基本的なお話などだけでも十分なものです。必ず司会も入れたリハーサルをして、客観的にしゃべり方や内容をみてもらった方が良いでしょう。

 

 以上、割り振りは色々ありますが、代表的なものを挙げてみました。
ここまでで、およそ本番までに必要な手続き、作業、発注などはある程度網羅できたのではないかと思います。次回はいよいよ、本番間近に発生してくるあれこれをまとめて説明します。

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(2019.10.11noteより転載)