くわだてありき(Bandsearchlightブログ)

吹奏楽(全国大会以外)とかコンサートホールとか高架下とかの話が主です。

後悔しないコンサートのつくり方(9)リハーサル

 当たり前ですが、できるだけよいものを聴いてもらうべく、最後の最後まで練習をするのがコンサートの前というもの。演奏のクオリティについてはわたしに語れることなどありませんが、演奏会前のリハーサルをする上で、ちょっと気をつけておくといいかも、ということをまとめておきます。(経験者の皆さまは飛ばしていただいてもかまいませんし、おさらい程度に見ていただけたらと思います)

 

もくじ

(1) 演奏会の内容を考える
(2) 場所を決め、準備する
(3) 曲目と曲順を決める
(4) チラシ・チケット、宣伝
(5) 対外手続き
(6) 役割分担
(7) 当日配布の印刷物
(8) 当日必要なあれこれ
(9) リハーサル ★
(10) いよいよ本番日


リハトラの話

 何らかの原因で、演奏会の直前まであまり練習に参加できない団員がいたとします。本番日には絶対出られることがわかっているのに、インフルエンザになってしまったとか、社会人の団体なら仕事の都合でどうしても練習に出席できない、などなど、やむを得ない事情はあると思います。でも曲の練習に差し障るのも事実。曲によってはその人がいないと成り立たないということだってあるかもしれません。そういうときは、リハーサルのみに参加してもらうエキストラ、通称リハトラを呼ぶという手があります。
 お願いして来てもらうのですから基本的に謝礼の支払いが発生しますが、欠けの無いサウンドできちんとリハーサルをすすめることができます。リハトラを依頼する相手は、スケジュールが空いているかはもちろん、楽団の状況を理解してくれる方、当日演奏する団員にリハーサルで決まったことなどをきちんと伝えてくれる方である必要があります。

 もちろん呼ぶか呼ばないかは、その団体の状況によって判断が分かれるところですが、あくまでひとつの手段としてご紹介しておきます。

         f:id:uru_nazki:20191023132245j:plain

          

曲が間に合わない!

 あらかじめ曲順を決めて練習に励んでいたとしても、思ったように曲が仕上がらない…そんな場合も(あんまり想定したくないですが)あります。やるか、やめるか、どこかで決断をしなくてはならないでしょう。
 チラシに掲載していない曲なら、思い切って演奏をやめる事も可能です。幹部(副部長・インペク)に相談するなどして、最終的には指揮者や部長の判断を仰ぎ、決定しましょう。
 チラシに掲載していた曲がどうしても仕上がらなかった時は、プログラムに演奏しないことを書き、お詫びするという手があります。『当初の予定から変更になりました……』のような文章を掲載するわけです。ただし、その曲が聴きたくて足を運んだ人をがっかりさせてしまう可能性は高くなります。すでにプログラムを印刷してしまっている場合、普通のコピー用紙で良いので曲目の変更を記載した紙をプログラムに挟み込み、お客様に周知します。でもこれはあくまで最終手段です。あんまり悲観的にならず、出来るところまでやってみましょう。


 ちなみに依頼演奏など、あらかじめ曲目をお知らせしない本番の場合は、ギリギリまで曲目を確定しなくても大丈夫かもしれません。が、土壇場になって「やっぱりこの曲やめよう」となった場合、その曲が無くてもお客様の依頼の内容にきちんと沿うコンサートになるかどうかは、確認する必要があるかもしれません。
 あと、演奏曲目を減らすと、当然ながら時間が余ります。空いた時間をそのままにしてもよいですが、大きな作品を演奏しないことにした場合は、別の作品で穴埋めをすることも視野に入れたほうがよいでしょう。

 

ゲネラルプローベ(GP)

 G・Pといってもゲネラルパウゼではありません。ドイツ語で通し練習(Generalprobe)のことです。
 全部続けてコンサートの順に演奏することにより、打楽器のひとりの移動が間に合わないとか、この曲順じゃトランペットの唇がやばいぞ保たないぞとか、見えることは結構たくさんあります。部活の時間は短縮されるいっぽうで、まとまった時間を取るのは大変かもしれませんが、1曲づつ練習しているだけでは気づかないことも、通し練習するとわかることがあります。可能な限り本番と同じ状況をつくって行います。司会とかにかかる時間も、なるべく再現できると、思わぬ時間の足りない(or余る)ことを避けられます。
 ちなみにゲネラルプローベのことをドレスリハーサルと呼ぶこともあります。読んで字のごとく、本番と同じ衣装を付けて総練習を行うところからできた用語です。

 

ホールでの練習

 本番前にホールで音出しの時間をたくさんとれる場合は、舞台上で最終リハやGPを行うことができると思います。曲をすべて通して演奏する必要はないので、気になるところのみ音出しするように進行して時間を節約します。気をつけたいのは、普段の練習場との違いを演奏にいかに反映するか、ということでしょう。OBやレッスンの先生などに客席から聴いてもらい、意図したとおりのサウンドになっているかどうかをチェックしたほうが、より思い描いたとおりの演奏をお客様に届けることができます。
 舞台上のセッティングについても同じことが言えます。練習場と同じような密度で椅子や打楽器などを配置していいのか、広がった(密集した)ほうがいいのかなどに注意します。
 また、演奏会の開演前にステージでリハーサルをする場合、可能ならコンサートの最後の曲目からはじめて、一番最初の曲目で終わるようにする(例:3部→2部→1部)と、そのセッティングのまま、余計な転換をせずにコンサートを始められるので便利です。これを逆リハ、と呼んだりします。

 

 * * * * *

 

 さあ、次はいよいよオーラス、本番当日のことについてです!ついついテンパりがちなコンサート本番前後、少しの失敗が大きな困難を運んでくることもあります。想定外のことをなるべく減らして、楽しい打ち上げにたどり着くためのヒントをご紹介できればと思っています。